レアメタルフリーの電池

地球上に豊富に存在する元素のみを使った、大容量の電池が開発された。
nature material 2012年5月号


電気をたくわえるものとして、リチウム電池が広く利用されている。
この電池の電極は、リチウム、鉄、マンガンの層状構造になっている。
ただし、リチウムはレアメタルの一種であり、まとまって産出しにくい元素だ。
そのため、レアメタルを使わない電池の開発が進められていた。


東京理科大学の薮内直明博士らは、レアメタルフリーの「ナトリウムイオン電池」を開発した。
博士らは、リチウムをそれとよく似た性質のナトリウムに置きかえた。
その後、地球上に豊富に存在する、鉄、マンガン、ナトリウムを組み合わせて、層状構造をもつ材料をつくった。
この材料を調べたところ、蓄電池の電極材料として、よりすぐれた特性を示すことがわかった。
この材料を用いた電池は、従来のリチウムイオン電池の約2倍の容量があるという。
今回、開発された電池は電気自動車の電源として実用化できるだろう、と博士らはのべている。


「NEWTON」2012年9月号