光でガスをとらえる

わずかな量のガスを高精度に検出できる小さな装置が開発された。
nature materials2011年8月号


水素を利用する燃料電池の開発において、ガス濃度を高精度に検出する技術は重要である。
これまでは、電気の力でガス濃度を計測していた。しかし、水素に電気を使うと爆発の危険性があった。


アメリカ、カリフォルニア大学のリュウ博士らは、光を利用してガス濃度を高精度にはかる装置を開発した。
この装置は、金でつくられた三角形板の一つの頂点の近くに、バラジウム粒子を設置している。
大きさは数十ナノメートル(ナノは10億分の一)だ。
この装置に光を照射すると、金とバラジウムの間に光のエネルギーが蓄積される。
この状態で、装置の近くにガスが存在すると、ガスがエネルギーを吸収することで、装置から再放出される光の波長が変化する。
この波長のずれから、ガス濃度を高感度に計測できるという。


博士らは、今回の成果をさらに発展させて、ガス分子1個でも検出可能なセンサーの実用化をめざしたい、とのべている。
「NEWTON」2011年12月号