2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

胎児の細胞が母親の脳へ

母親は我が子のことで頭がいっぱいだが、 その脳の中には文字通り、我が子が存在するようだ。 母マウスの脳を調べたところ、 胎児の細胞が入り込み、神経系の細胞に育っている とみられることが分かった。 この現象は シンガポール国立大学のドー(Gavin S. Dawe)…

炭素循環に大きな役割

前回の続き ペラギバクター・ウビクエ(SAR11)はちっぽけな単細胞生物だが、 海の炭素循環に重要な役割を果たしている。 大量のSAR11が存在するため、 海中の有機炭素の大半がこのバクテリアによって消費されている。 大気中の二酸化炭素にほぼ匹敵する量…

個体群の規模が淘汰に影響

前回の続き メリーランド大学の進化生物学者フリーランド (Stephen J. Freeland)によると、 SAR11の例は 「ゲノムをより速く効率的に複製する必要のある極めて大きな個体群では、 ゲノムそのものが小型化する」 という仮説を支持しているという。 「適応…

個体群の規模が淘汰に影響

前回の続き メリーランド大学の 進化生物学者フリーランド(Stephen J. Freeland)によると、 SAR11の例は 「ゲノムをより速く効率的に複製する必要のある極めて大きな個体群では、 ゲノムそのものが小型化する」 という仮説を支持しているという。 「適…

切り詰めた生活

前回の続き 余分なエネルギーを使ってまで生物が ジャンクDNAを維持してきたのは、 環境の変化に適応するのに役立ちそうな遺伝子を 蓄えておくためだろうと考えられてきた。 SAR11はその備えを思い切って捨て、身軽になったとみられる。 たとえていえば…

ある種の海洋細菌は少数の遺伝子しか持たない 進化の過程で“効率”

1人の人間を作るのに 必要なタンパク質の情報が書かれた遺伝子は 約2万5000個だが、 これはゲノム全体の1〜2%にすぎない。 残りは「ジャンクDNA」と呼ばれ、 タンパク質合成の情報を直接には含んでいない。 しかし、 厳しい環境で生き延びるために…

従来の薬剤に抵抗力のある細菌さえも殺菌する抗生物質が発見された

私たち人間と細菌の付き合いはとても古い。 いつしか人間は、 細菌から身を守るすべとして薬(抗生物質)を使うようになった。 しかし近年は、 この抗生物質に抵抗力を持つ細菌が次々とあらわれている。 彼らに打ち勝つ、より強力な抗生物質の登場が、 今や世界中で…

巨大な銀河団によって空間がゆがみ、遠くの銀河を見ることができる

ハッブル宇宙望遠鏡は このたび、五つに分身したように見えるクェーサーをとらえた。 ひとつの天体が分身して複数の位置に見える現象を「重力レンズ」という。 過去にいくつか同様の報告があるが、 五つまで見えた例はこれまでなかった。 イスラエル、テル・ア…

ひとりで歩く分子

人間が歩くのと似た要領で、 平面状を自らまっすぐ移動する分子が初めて作り出された。 この分子は9,10‐ジチオアントラセン(DTA)といい、 コールタールの誘導体に1対の硫黄有機化合物が結びついている。 銅の板の上に置いて熱を加えると、 硫黄有機化合…

遠泳上手のホオジロザメ

1頭の雌のホオジロザメが 9ヵ月かけて2万kmに及ぶ大洋横断旅行を成し遂げ、 科学者たちを驚かせている。 このサメは ニューヨークに本拠を置く世界保護協会の ボンフィル(Ramon Bonfil)らが 2003年11月に南アフリカ沖で捕獲し、追跡標識をつけた…

痛いの痛いの飛んでけ!

プラセボ(偽薬)には何の薬理効果もないのだが、 患者が効果を信じ込んでいる場合、 想像以上の実績が上がるようだ。 ミシガン大学アナーバー校とメリーランド大学の神経科学者たちは、 健康な若い男性ボランティアを募り、 あごの筋肉に食塩水を注射して痛…

特殊な結合と発火

前回の続き ジョンズ・ホプキンズ大学の神経科学者コナー(Charles Connor)は 「特定の人物に対して1個のニューロンが こうもはっきりと反応すると予測した科学者は そう多くないはずだ」と話す。 「これらニューロンがどんな情報に対応しているのかを詳しく…