2007-01-01から1年間の記事一覧

エアロゾルが地球温暖化を緩和する効果は、現行モデルの2倍にも達す

化石燃料などが燃やされると、 地球温暖化の原因となる 温室効果ガスと同時に「エアロゾル」と呼ばれる 汚染物質の微粒子が空気中に大量に放出される。 エアロゾルには、 太陽光の入射をさえぎり温暖化を緩和する効果があるとされているが、 これまでの観測で…

コレラ菌の環境での生存とヒトへの感染にかかわる因子は同じことがわ

病気の原因となる細菌の多くは、 宿主の内部と外部で生存できなければならない。 コレラ菌は水中環境に存在し、 しばしば動物プランクトンに付着してみつかる。 動物プランクトンに付着することで、 栄養を確保し、外的から身を守り、生存率を高めていると考…

植物からの燃料生産は、よりエネルギーがかかるという意見が否定され

石油や石炭は限られた資源であり、 便利さの反面、環境問題を引き起こす原因でもある。 そのため、バイオマス(生物資源)が注目されている。 トウモロコシなどから作成するエタノールは、 液体燃料としてすでに使用中である。 しかし総合的に考えると、 エネル…

土壌は、抗生物質が効きにくい耐性菌の「貯蔵庫」になっているらしい

現在知られるすべての天然および合成化合物の抗生物質に対して、 耐性を持つ微生物が存在する。 耐性菌の存在は感染症治療の妨げや、 薬剤開発の見直しをせまられる問題だが、 起源について体系的な研究はされていない。 土壌細菌は多くの抗生物質を産生し、また遭…

エアロゾルの間接効果は温室効果ガスの効果に匹敵するほど大きいらし

過去数十年にわたって観測されてきた北極域の海氷の減少は、 これまで温室効果ガスの直接的な影響によるものと考えてれてきた。 アメリカ、カリフォルニア大学サンディエゴ校のルービン博士らは、 アラスカの観測所で得られたデータをもとに、 さまざまな雲物…

幾何学センスは生まれつき?

一般的に人間は誰でも、 その言語能力や学校教育のいかんを問わず、 幾何学に関する直感的な感覚をもっているとされるが、 これまでなかなか検証できなかった。 フランス、フレデリック・ジョリオ病院のデハーネ博士らは、 南米アマゾンで外部から孤立して生活す…

がん遺伝子の一つが細胞内の呼吸に影響を与えることが分かった。

通常の細胞では、 酸素を利用する細胞内呼吸から主なエネルギーを得る。 一方、がん細胞は、 急速に増殖することで酸素不足にさらされる危険が大きい。 そこで、細胞内呼吸ではなく、 酸素を使わない「解糖」という代謝経路から主なエネルギーを得ること が知られて…

2億5000万年前におきた大量絶滅は、火山活動が原因という見方が

今から約2億5000万年前の古生代二畳紀末、 海洋生物の90%以上が絶滅した。 これは、生命史上最大の絶滅事件として知られている。 その原因については、隕石の衝突による環境変化説と、 シベリアでおきた大規模な火山活動による大気汚染説の 二つが有力視…

コーヒーにミルクを混ぜてしまっても、ある条件では元通りにできるら

コップが割れる、コーヒーにミルクを入れて混ぜる、 といった現象は、一度おきると元にはもどらない現象 だと考えられている。 映画ではフィルムを逆回しにすると簡単に元にもどせるが、 現実の世界では、不可能に近い。 アメリカ、カリフォルニア大学のパイン博士…

固体惑星の成長過程では、衝突だけではなく、すれ違いの影響も重要ら

惑星は原始太陽のまわりをまわるガスとちりの円盤の中でうまれ、 衝突合体を繰り返して成長したとされている。 惑星がまだ小さくて重力が小さい間は、 衝突することなくすれ違った場合に たがいにあたえる影響は小さい。 ところが惑星が大きくなると重力の効果が…

RNA干渉を使用して、HIVの感染にかかわるウイルスをおさえこむ

線虫などにおいては 2本鎖のRNAを細胞内に挿入することで相同なメッセンジャーRNAが破壊され、 タンパク質がつくられなくなるRNA干渉(RNAi)という現象がある。 哺乳類でもRNAiがおきるが、 そのためにはさらに短い2本鎖RNAを用いる s…

ダンス上手な男は左右対称

ヒトを含めた多くの生物では、 ダンスは求愛行動において重要と考えられているが、 ダンスでどんな性質が表現されるかはわかっていない。 進化の研究で、 身体の左右対称性の度合い(FA)は指標の一つにあげられる。 FAが発生学的安定性を示すからである。 ア…

ブラックホールの“食事”

巨大ブラックホールの起源は、 ビッグバンのときに形成されたとする説と、 銀河どうしが衝突するうちに、 その中心のブラックホールがガスや星を“食べて”徐々に巨大化した とする説がある。 アメリカ、アリゾナ州立大学のウインドホースト博士らは、 銀河の衝突合…

働きバチのうち、卵形成が進んだ固体は多くの花粉を集めるらしい。

アリやハチなど高度な社会を作る昆虫では、 働き役の不妊メスが巣にとどまって母親である女王を助け、 自分の兄弟を世話する。 アメリカ、アリゾナ州立大学のアムダン博士らは、 ミツバチの働きバチにおける仕事の割り当てが、 生殖能力と関連することを明らかにし…

ナノ粒子を組み合わせて、さまざまな材料がつくりだせることがわかっ

バクテリアや巨大分子などは、 自分で自分をつくりあげる「自己組織化」で 規則正しい構造をつくりだす。二つの異なったナノ粒子を自己集積化し、 正確に科学構成を制御して超格子(BNSL)をつくると、 安価にさまざまな材料を合成できることがわかってきた…

ある元素を混ぜると、セラミックスが100倍以上も強固になることが

セラミックスは、 船舶や発電用のエンジン、タービンなどに広く使用されている。 セラミックスは、強固な非金属の無機材料であるが、 高温で過酷な環境で長時間使用すると、 どうしても変形したり、こわれてしまうという欠点があった。 東京大学の幾原雄一博士らは、 …

近親交配の子は、母親のお腹の中で非近親交配の兄弟に救われるらしい

雌が複数の雄と交配する「一妻多夫制」は、 多くの生物で繁殖成功率を高めることが示されている。 胎生生物にとって、 近親交配は子どもの遺伝的性質を低下させるだけでなく、 正常な受精卵の発育に必要な胎児と母親間の相互作用をそこない、 自然流産の原因にな…

反発しあう二つの原子も、対になって存在しうることが発見された。

水素や酸素は、単独原子でいるよりも 対をなして分子となるほうが安定に存在する。 これは、原子同士がお互いに引き合って対となるほうが、 全体のエネルギーが低くなるからである。 逆に、反発しあう性質を持つ原子どうしは、 お互いを遠ざけるので対になることは…

仲間の痛がる姿は、ヒトのみならず、マウスにもこたえるらしい。

「感情移入」は、ヒトだけが持つ性質だと考えられてきた。 カナダ、マックギル大学のラングフォード博士らは、 マウスに酢酸注射による痛み刺激をあたえる実験で、 マウスの感情移入の存在を明らかにした。 2匹のマウスに同時に痛みをあたえると、 個別に痛みをあ…

ある密度まで集まると、イナゴは統一性のある動きをとり始めるらし

砂漠にすむイナゴは集団で農作物を襲うことがある。 このとき、彼らは秩序ある行動パターンをとる。 集団で移動するほかの生物にもみられるように、 集団内の密度が高くなると、ばらばらだった個々の動きが、 全体的にまとまった動きへと急激に変化するのだ。 …

分子を組み立てるウイルスの性質を使い、高性能な電池の作成に成功し

携帯電話やノート型パソコンなどの電源として、 いま最も使用されているのがリチウムイオン電池である。 従来より小さく高性能のリチウムイオン電池を開発するには、 電極の材料をいかに選択し、組み立てるかが重要となる。 アメリカ、マサチューセッツ工科大学…