土壌は、抗生物質が効きにくい耐性菌の「貯蔵庫」になっているらしい
現在知られるすべての天然および合成化合物の抗生物質に対して、
耐性を持つ微生物が存在する。
耐性菌の存在は感染症治療の妨げや、
薬剤開発の見直しをせまられる問題だが、
起源について体系的な研究はされていない。
土壌細菌は多くの抗生物質を産生し、また遭遇するため、
抗生物質に対する感知、対抗戦略化させてきた。
カナダ、抗菌研究センターのドコスタ博士らは、
都市、農地などで採取した土から480種の細菌を分離した。
天然、合成化合物を含む
21種の抗生物質に対する菌の耐性を調べたところ,
15の抗生物質に対して耐性を持つ菌が2種存在し、
7〜8の抗生物質に耐性を持つ菌が多かった。
土の中は、
医学的に重要な耐性菌がすでに発生、
あるいは発生する可能性がある貯蔵庫になっているらしい。
土壌中の耐性菌を調べることは、
将来起こりうる抗生物質耐性菌発生を早期に警告する
システムを構築することに役立つ、と博士らは考えている。
●Science 2006年1月20日号
月刊誌「NEWTONE」から