2006-01-01から1年間の記事一覧

殺菌効果のある波長の短い紫外線を出す発光ダイオードが開発された。

太陽から放射される紫外線の中で、 最も波長が短い「UVC」はオゾン層で完全に遮断され、 地表に届かない。 そのため、地球上の生物はUVCへの耐性を全く持っていない。 このUVCを人工的に生み出すことで、 細菌や有害物質の殺菌や浄化に利用しようという…

わずか30個の原子という微小重量の測定に,世界で初めて成功した

ナノテクノロジー(ナノは10億分の1)は、 半導体や高機能材料だけでなく,原子レベルの微小な重量を 測定する技術にも役立っている。 原子レベルの重さが測定できると, DNAなどの生体分子1個の重量分析が可能になるという。 アメリカ、カリフォルニア…

妊娠が母体を守る?

前回の続き 胎児の細胞が母親の胎内に入り込むのは 母親の健康を守るためだという説もある。 胎児細胞が脳の損傷部位に集まったのはこの説を支持する材料だと、 タフツ大学のビアンキ(Diana W. Bianchi)はいう。 ビアンキは 胎児細胞が母親の胎内に何十年も…

静脈注射で細胞移植も

前回の続きStem Cell誌オンライン版2005年8月10日号に掲載されたこの発見は、 脳障害の治療に新たな希望をもたらした。 血管脳関門が障壁となるため、 脳への細胞移植にはドリルで頭蓋骨に穴を開ける必要がある とこれまでは考えられてきた。 しかし、 脳に入り…

傷ついた部分に集中

前回の続き ドーらが 全身に緑色蛍光タンパク質ができるよう遺伝子操作したオスのマウスを 通常のメスと交配させたところ、 母親の脳の中に、緑色蛍光を示す胎児の細胞が発見された。 「いくつかの脳領域では、脳細胞100個あたりの胎児由来の細胞が1個、 とき…

胎児の細胞が母親の脳へ

母親は我が子のことで頭がいっぱいだが、 その脳の中には文字通り、我が子が存在するようだ。 母マウスの脳を調べたところ、 胎児の細胞が入り込み、神経系の細胞に育っている とみられることが分かった。 この現象は シンガポール国立大学のドー(Gavin S. Dawe)…

炭素循環に大きな役割

前回の続き ペラギバクター・ウビクエ(SAR11)はちっぽけな単細胞生物だが、 海の炭素循環に重要な役割を果たしている。 大量のSAR11が存在するため、 海中の有機炭素の大半がこのバクテリアによって消費されている。 大気中の二酸化炭素にほぼ匹敵する量…

個体群の規模が淘汰に影響

前回の続き メリーランド大学の進化生物学者フリーランド (Stephen J. Freeland)によると、 SAR11の例は 「ゲノムをより速く効率的に複製する必要のある極めて大きな個体群では、 ゲノムそのものが小型化する」 という仮説を支持しているという。 「適応…

個体群の規模が淘汰に影響

前回の続き メリーランド大学の 進化生物学者フリーランド(Stephen J. Freeland)によると、 SAR11の例は 「ゲノムをより速く効率的に複製する必要のある極めて大きな個体群では、 ゲノムそのものが小型化する」 という仮説を支持しているという。 「適…

切り詰めた生活

前回の続き 余分なエネルギーを使ってまで生物が ジャンクDNAを維持してきたのは、 環境の変化に適応するのに役立ちそうな遺伝子を 蓄えておくためだろうと考えられてきた。 SAR11はその備えを思い切って捨て、身軽になったとみられる。 たとえていえば…

ある種の海洋細菌は少数の遺伝子しか持たない 進化の過程で“効率”

1人の人間を作るのに 必要なタンパク質の情報が書かれた遺伝子は 約2万5000個だが、 これはゲノム全体の1〜2%にすぎない。 残りは「ジャンクDNA」と呼ばれ、 タンパク質合成の情報を直接には含んでいない。 しかし、 厳しい環境で生き延びるために…

従来の薬剤に抵抗力のある細菌さえも殺菌する抗生物質が発見された

私たち人間と細菌の付き合いはとても古い。 いつしか人間は、 細菌から身を守るすべとして薬(抗生物質)を使うようになった。 しかし近年は、 この抗生物質に抵抗力を持つ細菌が次々とあらわれている。 彼らに打ち勝つ、より強力な抗生物質の登場が、 今や世界中で…

巨大な銀河団によって空間がゆがみ、遠くの銀河を見ることができる

ハッブル宇宙望遠鏡は このたび、五つに分身したように見えるクェーサーをとらえた。 ひとつの天体が分身して複数の位置に見える現象を「重力レンズ」という。 過去にいくつか同様の報告があるが、 五つまで見えた例はこれまでなかった。 イスラエル、テル・ア…

ひとりで歩く分子

人間が歩くのと似た要領で、 平面状を自らまっすぐ移動する分子が初めて作り出された。 この分子は9,10‐ジチオアントラセン(DTA)といい、 コールタールの誘導体に1対の硫黄有機化合物が結びついている。 銅の板の上に置いて熱を加えると、 硫黄有機化合…

遠泳上手のホオジロザメ

1頭の雌のホオジロザメが 9ヵ月かけて2万kmに及ぶ大洋横断旅行を成し遂げ、 科学者たちを驚かせている。 このサメは ニューヨークに本拠を置く世界保護協会の ボンフィル(Ramon Bonfil)らが 2003年11月に南アフリカ沖で捕獲し、追跡標識をつけた…

痛いの痛いの飛んでけ!

プラセボ(偽薬)には何の薬理効果もないのだが、 患者が効果を信じ込んでいる場合、 想像以上の実績が上がるようだ。 ミシガン大学アナーバー校とメリーランド大学の神経科学者たちは、 健康な若い男性ボランティアを募り、 あごの筋肉に食塩水を注射して痛…

特殊な結合と発火

前回の続き ジョンズ・ホプキンズ大学の神経科学者コナー(Charles Connor)は 「特定の人物に対して1個のニューロンが こうもはっきりと反応すると予測した科学者は そう多くないはずだ」と話す。 「これらニューロンがどんな情報に対応しているのかを詳しく…

セレブに反応する脳細胞

前回の続き しかし、 英国レスター大学のキアン=キローガ(Rodrigo Quian Quiroga)らの 最近の研究で新事実が浮上した。 彼らは個々のニューロンがさまざまな刺激に対して どれほど選択的に反応するかを調べようと、 てんかん手術を受ける8人の患者に注目…

ニューロンたった1個の記憶

特定の人物に選択的に反応する脳細胞がある しかも抽象的な概念を記憶しているようだ 雑誌の表紙に載っている有名人の顔をみると、 脳はそれが誰かをすぐに認識する。 これはたった1個のニューロン(神経細胞)の働きによるらしい。 最近の研究によると、 こ…

原生生物と藻類の複合体

前回の続き 体長は約30μmで、2本のべん毛を持つ。 全体は透明だが、部分的に緑色をしており、 そこには葉緑体がある。 こうした形態などから、 カタブレファリス門に属する捕食性の原生生物の体内に ネフロセルミス属の藻類が共生し、 全体として統制がとれた…

植物か動物か、それが問題だ

筑波大学の研究者が 奇妙な生物「ハテナ」を発見 共生による生物種進化の謎に手がかり あるときは植物として光合成で生き、 またあるときは動物となって餌をとらえる そんな不思議な海洋微生物が見つかった。 生命進化では異種生物どうしの共生が進んで新たな…

復元された殺人ウイルス

1918年に世界的大流行を引き起こした インフルエンザ「スペイン風邪」のウイルスが 実験室内で復元された。 陸軍病理学研究所のタウベンバーガー(Jeffery Taubenberger)らは 犠牲者の保存組織からウイルスの遺伝子を抽出し、その配列を解読した。 Nature誌…

徹夜もへっちゃら

徹夜勤務で疲労困憊した警察官や医療関係者も、 これを飲めば元気百倍? ある種の化学物質を睡眠不足のアカゲザルに与えたところ、 元気を回復した。 ウェイク・フォレスト大学医学部の神経生物学者たちは、 11匹のサルを30〜36時間にわたって眠らせずに…

息を止めないで

睡眠中に死亡した場合、死因は心不全とされることが多いが、 一部は睡眠時無呼吸症候群が本当の原因かもしれない。 睡眠中に呼吸が中断する病気だ。 脳幹には「内呼吸性ニューロン群」という呼吸に不可欠な領域がある。 ラットの内呼吸性ニューロン群に限定的に作…

エイズウイルスが弱体化?

最近のエイズウイルス(HIV)は 以前よりも弱くなっているようだ。 少なくとも増殖能力という点では。 治療を受けていないエイズ患者から 最も一般的なウイルス株であるHIV‐1を採取し、 1986〜89年の標本と 2002〜03年の標本を比較試験した。…

ひとくちNEWS

○ 心臓病のリスク因子にC反応性たんぱく質という物質があるが、 これを検査しても診断の役には立たないかもしれない。 このたんぱく質は喫煙や高血圧、肥満など、 かねて知られてきたリスク因子を持つ人では必ず高くなるようだ。 ( Archives of Internal Medici…

ひとくちNEWS

○ 「オベスタチン」という新たな食欲抑制ホルモンが見つかった。 食欲亢進ホルモン「グレリン」とよく似ているが,逆の作用を示す。 肥満対策の新たなターゲットになるだろう。 ( Science誌 2005年11月11日号 ) ○ 感情的なストレスは問題解決能力を低…

副作用を手軽に検査

前回の続き メタボノミクスは代謝物に注目した新しい研究分野だが、 着実に成果を上げ始めている。 2004年、ロンドン大学インペリアルカレッジとファイザーは メタボノミクスに基づく新手法を特許出願した。 動物の尿をあらかじめ詳しく調べておくと、 投…

環境要因が代謝を決める

前回の続き ファイザーの研究者たちは 異常なラットの薬物代謝能力については調べなかったが、 同様の動物を使って実験しても矛盾する結果が出ることが あるのは何故か、 今回の発見で部分的に説明がつくだろうとロボスキーはいう。そして、腸内微生物が薬物…

謎に満ちた腸内細菌の作用

前回の続き その論文はスタンフォード大学のエックバーグ(Paul B. Eckburg)らによるもので、 ゲノム解析に基づいて推定すると、 私たちの腸内には少なくとも400種の微生物がいるという。 それぞれの種には複数の系統があるため、その違いまで考えると膨…