痛いの痛いの飛んでけ!
プラセボ(偽薬)には何の薬理効果もないのだが、
患者が効果を信じ込んでいる場合、
想像以上の実績が上がるようだ。
ミシガン大学アナーバー校とメリーランド大学の神経科学者たちは、
健康な若い男性ボランティアを募り、
あごの筋肉に食塩水を注射して痛みを引き起こした。
その後、
「生理食塩水を静脈に点滴すると鎮痛作用がある」と
被験者に説明したうえで点滴を行い、
15秒ごとに0から100の段階で
不快感の強さを自己申告してもらった。
同時に脳画像を撮影したところ、
痛みとストレス、報奨、感情への応答に関連する領域が
エンドルフィンという物質を放出していることが分かった。
エンドルフィンは天然の鎮痛剤で、麻薬に似た作用がある。
エンドルフィン放出のタイミングは、
被験者が痛みや不快感が和らいだと報告した
時期と一致した。
今後は女性の被験者や慢性疼痛患者でも
同様の効果が生じるかどうかを調べる予定だ。
月刊誌「日経サイエンス」から