遠泳上手のホオジロザメ
1頭の雌のホオジロザメが
9ヵ月かけて2万kmに及ぶ大洋横断旅行を成し遂げ、
科学者たちを驚かせている。
このサメは
ニューヨークに本拠を置く世界保護協会の
ボンフィル(Ramon Bonfil)らが
2003年11月に南アフリカ沖で捕獲し、追跡標識をつけたもの。
その後、99日間でオーストラリア西岸沖まで進み、
2004年8月にアフリカの海に戻ってきた。
この間、およそ2/3にあたる時間を海面付近ですごしており、
天体の位置を手がかりに航海していた可能性があるという。
この旅は、単に海洋生物による最速の移動記録というだけでなく、
遠く離れたホオジロザメの集団が交配している可能性を示す。
また、ホオジロザメは絶滅危惧種だが、
その保護が予想以上に難しいことも意味している。
一部の国でホオジロザメ漁を禁止しても、
国際水域で捕獲される恐れがあるからだ。
月刊誌「日経サイエンス」から