2006-01-01から1年間の記事一覧

腸内細菌で変わる薬の効き目

腸内細菌が、薬物の代謝そのものを変えているらしい 全容解明が急がれる 2004年、製薬大手ファイザーの科学学者が 実験用のラットについて奇妙なことに気付いた。 尿中に排出される「馬尿酸」という代謝物の量が極端に少ない。 代謝異常だとすると実験結果…

これまでで最も広い範囲をえがいた「宇宙の3次元地図」が完成

広い宇宙に点在する銀河の場所を知るためには、 「定規」となる3次元地図が使われる。 より大きな定規があれば、より精度が高くなる。 アメリカ、ローレンスバークリー国立研究所のシュレーベル博士らは、 約60万個の銀河の方向と距離を、56億光年はなれた…

ナノレベルの大きさのちがいをより分ける、高性能なフィルターが開発

小さなゴミやホコリを取り除くフィルターは、水道の蛇口など、身の回りでよく見かける。 工業用には、特殊な樹脂でできたフィルターが使われる。 これまでは、目を細かくすれば溶液の透過速度が遅くなり、 目を粗くすれば除去性能が劣化してしまう、という問題が…

甘い水のトリック

普通の水を甘く感じさせる。その原因はタンパク質の変化にあるらしい ◎nature2006年5月18日号 口の中に入れて苦味を感じる物質がある。 その物質を水ですすぎ落とすと口に甘味が残ることがある。 水は実際甘くないのに、なぜ甘く感じられるのだ…

微生物が作り出す繊維の、さまざまな利用法

立教大学の田淵真理助教授らは、 酢酸菌の培養条件を制御することで、 ナタデココ繊維の孔の大きさを調節して、 的成分と不要な成分を分離するフィルター作成した。 ナタデココから作られたフィルターは、強度が強く、有効なろ過面積が広いのが特徴だ。 次に、ガ…

水滴を落とすと噴水になる

ある固体に水滴を落下させると、 ?噴水?のようにはね返る現象が見つかった。 台所の流し台に落ちる水滴は、台に衝突した瞬間に四方八方に飛散するだろう。 しかし、固体表面の材質が違えば、不思議な現象が生じることがわかってきた。 フランスパリ高等師範学校の…

たたくほど強くなる理由

鋼がたたくほど強くなるのは、 結晶中の?ずれ?によることがわかった。 鋼の強度は、結晶格子の一部がずれて原子が 線状に連なった「転位」によって決まる。 例えば、金属が曲がるのは、 転位が結晶中を移動するためにおきる。 しかし、鋼などの金属を繰り返したた…

肥満好みのDNA配列

肥満のなりやすさに、 遺伝子配列のわずかな違いが関連していた。 人の性格に、個人差はつきものだが、 人のもつDNA配列にもわずかな個人差はつきものである。 「DNA多型」と呼ばれるもので、このわずかな配列の違いは、 病気のかかりやすさなどに影響を及ぼ…

生命の”素”は宇宙空間で誕生した?

地球の生命はおよそ38億年前以前の 原始海洋中で誕生したと考えられている。 では、その素となった物質はどこから来たのか。 横浜国立大学の小林憲正教授らが先頃発表した実験の結果は、 生命の素が宇宙でつくられたことを強く示唆するものだった。 アミノ酸…

顔だけに反応する神経細胞

物体の識別は大脳側頭葉で行われる。 ヒトと一部のサルでは顔の映像を見たときに、 他の映像よりも強く反応する部位が側頭葉にあり その部位が顔に関する情報処理を担うとされている。 しかし、個々のニューロンが特定の刺激に対してはたらくのは不明だ。 ア…

火の玉の作成に成功

雷が地上に落ちたとき、地表は瞬間的に熱くなり溶融する。 この熱い部分が蒸気となりプラズマを形成し火の玉になると言われている。 イスラエル・テルアビブ大学のジャーヴィ博士らは 実験室で火の玉をつくることに成功した。 電子レンジから放出されたのと…

微生物を予防に生かす

前回の続き 乳児期にできあがった腸内細菌叢は その後維持され、大きく組成が変わることはない。 そのため、ひとたび異常な腸内細菌叢ができてしまうと、 免疫系の発達に問題が生じることがある。 アレルギー児と非アレルギー児の比較では 食生活や抗生剤の使…

微生物を予防に生かす

前回の続き 欧米では、西側諸国よりもかつての社会主義国や東欧諸国で アトピー性疾患が少ないことが報告されている。 ビョークステン(Bengt Bjorksten)らは西欧型の生活様式によって 乳児・幼児期に細菌に刺激される機会が減り、 結果的にT…

微生物を予防に生かす

最近、注目されているプロバイオティクスは 「腸内の細菌叢のバランスを改善し、 宿主に有益な作用を示す微生物とそれを含む食品」と定義される。 ヒトの大腸内には多種多様な細菌が常在し、 複雑な腸内細菌叢を形成している。多くの研究により、 腸内細菌が健…

免疫と「衛生仮説」

大家族の中で育ち、早くから保育園などで集団生活を開始するなど、 病原菌への感染機会が多い児童ほどアレルギー疾患が少ないという報告がある。 衛生仮説が当てはまるのは感染症を引き起こすような細菌類だけではなく、 食品に含まれる乳酸菌などでも同様ら…

免疫と「衛生仮説」

日本では感染症として非常に患者の多かった結核の患者数が 1960年代半ばから激減するとともに、 アレルギー疾患の増加が見られるようになった。 私たちは和歌山県で12〜13歳の児童の ツベルクリン反応(ヒト結核菌感染診断のための皮膚試験)、 免疫…

免疫と「衛生仮説」

前回の続き ストラチェン(David P.Strachan)は 英国で生まれた1万7414人を対象に、 23年間におよぶ追跡調査を行った。 その結果、さまざまな年齢で、兄弟姉妹の数が多く、 生まれた順が遅いほど気管支喘息やアトピー性皮膚炎に かか…

免疫と「衛生仮説」

新生児の免疫系はTh2に傾いているが、 さまざまな病原微生物に感染したり、 腸内細菌叢を形成する常在細菌群から刺激を受けたりすることに よってTh1機能が次第に発達し、Th1とTh2のバランスが 取れるようになる。 ところが乳幼児期に細菌などに…

免疫と「衛生仮説」

Th1、Th2は同じT細胞から分化したもので、 お互いに他方の働きを抑制する。 健康な成人の免疫系はTh1とTh2のバランスがうまく取れている。 しかし免疫バランスが崩れてTh2が優勢なると、 Th2の働きで作られるIgEと体内に存在する肥満細…

ピロリ菌がいなくなると

ピロリ菌がいない人は、消化器潰瘍や胃ガンになるリスクが減る。 ピロリ菌が誘発する炎症が起こらないからだ。 しかし一方で、胃の酸度をピロリ菌が調節してくれないので、 食道下部が強酸性の胃内容物にさらされることになり、 食道に炎症が起きる。そのた…

免疫細胞の会話

免疫細胞は病原体を探し出し、それに対処する仮定で 情報をやりとりしたり記憶したりする必要がある。 そこで以前から情報伝達のエキスパートである神経系の細胞と 似たメカニズムで免疫細胞も会話しているのではないかと 考えられていた。 免疫細胞同士が情…