生命の”素”は宇宙空間で誕生した?
地球の生命はおよそ38億年前以前の
原始海洋中で誕生したと考えられている。
では、その素となった物質はどこから来たのか。
横浜国立大学の小林憲正教授らが先頃発表した実験の結果は、
生命の素が宇宙でつくられたことを強く示唆するものだった。
アミノ酸は生命を形作るタンパク質の構成要素である。
かつて地球の生命は、
原始海洋中でアミノ酸が合体成長を繰り返して生まれたとされるが、
それら生命の素になった物質がどこで作られたのかはまだよくわかっていない。
今回の実験に用いられたのは、
暗黒星雲中の塵に凍り付いている水、メタノール、アンモニアの混合物だ。
宇宙環境にあわせるために、液体窒素で−200度に凍結し、
宇宙に飛び交う銀河宇宙船に匹敵する放射線にさらしたところ、
数時間で分子量2300程度の高分子が作られた。
この高分子を加熱すると、
芳香族化合物などの有機物が発生し、
加水分解するとアミノ酸が生じた。
サイエンス月刊誌「NEWTONE」から