免疫と「衛生仮説」
大家族の中で育ち、早くから保育園などで集団生活を開始するなど、
病原菌への感染機会が多い児童ほどアレルギー疾患が少ないという報告がある。
衛生仮説が当てはまるのは感染症を引き起こすような細菌類だけではなく、
食品に含まれる乳酸菌などでも同様らしい。
例えばブルガリアのある地域では、伝統的な暮らしを守り、
ヨーグルトなど乳酸菌で発酵させた食品を多く摂取する人々では
アレルギーの発症頻度が低く、
腸内には腸球菌や乳酸菌が多いことが報告されている。
そこで、乳酸菌を含んだ食品をとることで腸内細菌叢を変化させ、
アレルギー疾患の発症を予防するという方法が考えられた。
近年、ヨーグルトやチーズ、発酵乳飲料などの発酵食品によって、
腸内細菌叢のバランスを整える「プロバイオティクス」についての
研究がなされている。
「日経サイエンス」から