甘い水のトリック
普通の水を甘く感じさせる。その原因はタンパク質の変化にあるらしい
◎nature2006年5月18日号
口の中に入れて苦味を感じる物質がある。
その物質を水ですすぎ落とすと口に甘味が残ることがある。
水は実際甘くないのに、なぜ甘く感じられるのだろうか。
アメリカ、モネル科学感覚センターのクスピネラ博士らは、
この現象を引き起こす数種類の苦味物質を使い実験を行った。
これらの物質を甘味物質とともに細胞にあたえ、
細胞が感じる甘味の強さを測定した。
その結果、この甘い水の味を引き起こす物質は、
細胞が甘味を感じる能力を低下させることが分かった。
これらの物質を水ですすぎ落とすと、甘味を感じる能力は回復した。
甘味を加えず、この苦味物質を単独であたえて水ですすいでも、甘味を感じる能力はあがる。
これは、甘味を受け取るタンパク質が変化しているからではないかと博士らは推測した。
このタンパク質の変化が、本来味のないただの水を甘く感じさせる。
これが今でいわれたきた“甘い水”の味の正体だろう、と博士らは考えている。
サイエンス月刊誌「NEWTONE」から