胎児の細胞が母親の脳へ
母親は我が子のことで頭がいっぱいだが、
その脳の中には文字通り、我が子が存在するようだ。
母マウスの脳を調べたところ、
胎児の細胞が入り込み、神経系の細胞に育っている
とみられることが分かった。
この現象は
シンガポール国立大学のドー(Gavin S. Dawe)と
シンガポール総合病院のシャオ(Zhi-Cheng Xiao)らが、
脳卒中やアルツハイマー病などの治療法を
探る研究の中で発見した。
胎児の細胞は母親の血液中に入り込むことがある。
この事実は以前から知られており、
人間では出産後27年以上も母親の体内に残る場合がある。
胎児細胞は幹細胞のようにさまざまな種類の細胞に変化でき、
傷ついた臓器の修復を助けているとも考えられる。
月刊誌「日経サイエンス」から