エイズウイルスが弱体化?
最近のエイズウイルス(HIV)は
以前よりも弱くなっているようだ。
少なくとも増殖能力という点では。
治療を受けていないエイズ患者から
最も一般的なウイルス株であるHIV‐1を採取し、
1986〜89年の標本と
2002〜03年の標本を比較試験した。
ウイルスにヒトの血液細胞と免疫細胞を与えたところ、
以前のウイルスは最近のウイルスよりも増殖しやすく、
抗HIV剤も効きにくかった。
HIV‐1がヒトからヒトに感染するうちに人体の環境に適応し、
宿主を生かしつつ自らも生き残れるよう、
増殖率が低下した可能性がある。
とすると、HIVはいずれ致命的なウイルスでは
なくなるのだろうか。
研究チームの一員である
ケース・ウェスタン・リザーブ大学のアーツ(Eric Arts)は
「それまでに20年かかるのか、200年なのか、2000年なのか、
研究を重ねなければ何ともいえない」という。
研究にはベルギーのアントワープにある
熱帯医学研究所の科学者も加わっている。
この発見はAIDS誌2005年10月14日号に掲載された。
月刊誌「日経サイエンス」から