巨大な銀河団によって空間がゆがみ、遠くの銀河を見ることができる
ハッブル宇宙望遠鏡は
このたび、五つに分身したように見えるクェーサーをとらえた。
ひとつの天体が分身して複数の位置に見える現象を「重力レンズ」という。
過去にいくつか同様の報告があるが、
五つまで見えた例はこれまでなかった。
イスラエル、テル・アビヴ大学のシャロン博士らは、
画像を解析し、重力レンズによるゆがみを調べた。
地球から約100億光年の距離にある銀河の中心にはクェーサーがあり、
その光は地球に向かっている。
光は、地球から約70億光年の距離にある、
巨大な質量を持つ銀河団「SDSS J1004+4112」によって
ゆがめられた空間を通過する。
このとき、地球から見ると、クェーサーの星像はゆがみ、
増幅され、五つの分身に見えたのだという。
博士らは、このような重力レンズ現象を調査することで、
宇宙初期の銀河についてさまざまな知見が得られる、
とのべている。
月刊誌「NEWTONE」から