近親交配の子は、母親のお腹の中で非近親交配の兄弟に救われるらしい

     雌が複数の雄と交配する「一妻多夫制」は、
       多くの生物で繁殖成功率を高めることが示されている。


胎生生物にとって、
  近親交配は子どもの遺伝的性質を低下させるだけでなく、
  正常な受精卵の発育に必要な胎児と母親間の相互作用をそこない、
  自然流産の原因になると考えられている。


アメリカ、ネバダ大学のゼー博士らは
 胎生のシュードスコーピオンを用いた実験で、雌を1回の繁殖期間中に
 兄弟関係の雄および血縁関係のない雄と計2回交配させ、
 胎児の流産率と生まれた子どもの数を調べた。


兄弟雄と2回交配した場合よりも、
          兄弟雄と無縁雄と1回ずつ交配した場合の方が
流産率は低下し、生まれた子どもの数が増加した。
 すなわち、
  非近親交配の胎児が同時に存在することで、
  近親交配の胎児と母親間の相互作用の悪化をおぎなっているらしい。


     胎生生物の雌にとって、一妻多夫制の利点は複雑である、
                     と博士らは考えている。
                                                ●nature 2006年1月12日号



月刊誌「NEWTONE」から