反発しあう二つの原子も、対になって存在しうることが発見された。
水素や酸素は、単独原子でいるよりも
対をなして分子となるほうが安定に存在する。
これは、原子同士がお互いに引き合って対となるほうが、
全体のエネルギーが低くなるからである。
逆に、反発しあう性質を持つ原子どうしは、
お互いを遠ざけるので対になることはない、と今まで考えられてきた。
オーストリア、インスブルック大学のウインクラー博士らは、
反発しあう原子どうしが安定に存在する状態をつくりだした。
博士らは、
レーザー光からなる、光のくぼみが規則正しく並んだ構造をつくった。
この光のくぼみの一つに、低温にしたルビジウム原子を二つ置いたところ、
通常は強く反発しあう原子どうしが、
対になり安定に閉じこめられた。
このような、反発しあっても安定に存在する原子の対は、
ほかに例がない。
今回使った技術を用いれば、
こうした現象はほかの原子でも観察できるだろう、
と博士らはのべている。
●nature 2006年6月15日号
月刊誌「NEWTONE」から