RNA干渉を使用して、HIVの感染にかかわるウイルスをおさえこむ
線虫などにおいては
2本鎖のRNAを細胞内に挿入することで相同なメッセンジャーRNAが破壊され、
タンパク質がつくられなくなるRNA干渉(RNAi)という現象がある。
哺乳類でもRNAiがおきるが、
そのためにはさらに短い2本鎖RNAを用いる
siRNAを行うことが効果的である。
ハーバード医科大学のパリサー博士らは、
エイズウイルス(HIV)の感染に大きく関与する
ヘルペスウイルス(HSV−2)中の
3種類の遺伝子を標的としたsiRNAを作製した。
作製したsiRNAマウスの膣に挿入し、
致死量のHSV−2ウイルスに感染させ観察した。
その結果、
炎症もなく膣内の粘膜上にsiRNAが効果的に取りこまれ、
子宮頸膣部内においてのHSV−2ウイルスの遺伝子の発現を
おさえることに成功した。
博士らは、
使用するsiRNAの量の最適化などの検討の余地があるが、
siRNAは粘膜のウイルス感染への効果的で安価な薬剤になりえる
と考えている。
●nature 2006年1月5日号
月刊誌「NEWTONE」から