分子を組み立てるウイルスの性質を使い、高性能な電池の作成に成功し
携帯電話やノート型パソコンなどの電源として、
いま最も使用されているのがリチウムイオン電池である。
従来より小さく高性能のリチウムイオン電池を開発するには、
電極の材料をいかに選択し、組み立てるかが重要となる。
アメリカ、マサチューセッツ工科大学のナン博士らは、
ウイルスを使って、電極となる酸化コバルトのナノワイヤーを
組み立てることに成功した。
ウイルスは分子を認識し、それらを組み立てる能力を持つ。
そのため、ナノ構造(ナノは10億分の1)をつくるのに
利用できるのだという。
博士らは、酸化コバルトと金がウイルスの膜に引きつけられるよう、
ウイルスの遺伝子を操作した。
それによって、極めて薄いナノワイヤーが形成されたという。
形成されたワイヤーを電極に使用すると、
バッテリー容量が飛躍的に向上した。
このようにして、薄くて軽いリチウムイオン電池を作成することができた、
と博士らはのべている。
◎ Science 2006年5月12日号
サイエンス月刊誌「NEWTONE」から