微生物がスイスイ泳ぐわけ

微生物は、周囲の液体をさらさらにして、効率よく泳ぐことがわかった。
Physical Review Letters2009年10月2日


バクテリアなどの微生物は、生体内の溶液でスイスイ泳いでいる。
微生物が粘性の大きな生体溶液の中を泳ぐには、大きな推進力が必要だ。
これまで、微生物がどうやって推進力を得ているのか、よくわかっていなかった。


アメリカアルゴンヌ国立研究所のソコロフ博士らは、粘性のある溶液を含ませた薄いフィルムに、1平方センチメートルあたり100億個のバクテリアを注入し、注入前と溶液の粘性の大きさを比較した。


すると、バクテリアが入っている場合には、粘性が7分の1になった。
また、溶液に酵素を溶かしてバクテリアの運動を活発にした場合も、粘性は小さくなることが分かった。


博士らは、バクテリアのはたらきにより酵素や溶液と化学反応することで粘性が下がり、バクテリアが泳ぎやすくなる効果があると考えている。
また反応で生じたエネルギーを推進力に利用しているという。


「NEWTON」2010年2月号