身近な超音速ジェット

水槽の中に円盤を沈めていくだけで、自ら空気の超音速ジェットが噴出した。
Physical Review Letters2010年1月15日号


気体や液体が勢いよく噴出する現象は「ジェット」とよばれる。
ロケットエンジンのジェットや天体に見られるプラズマジェットは超音速のジェットだ。
だがもっと身近なところでも超音速ジェットが生じることがわかった。


オランダトウェンテ大学のゲクル博士らは、制御棒のついた半径2センチメートルの円盤を水面に浮かべ、秒速1メートルの速さで水中にひっぱった。
このとき円盤上部にできた水のない空間は、円盤が深く沈むにつれてひきのばされ、水圧で急激に砂時計のようにくびれていった。
すると中の空気が圧縮され、超音速で噴出した。
くびれた空間の形はロケットエンジンのノズルの形と同じだという。
なお、水に小球を落とす実験でも、同様の現象が生じることが別の研究で確かめられている。


博士らは、この成果はブラックホールの形成やクェーサーが噴出するプラズマジェットの解明に役立つかもしれないとのべている。



「NEWTON」2010年5月号から