オゾン層破壊の新たな主役

フロンにかわってオゾン層破壊の新たな主要因となる物質が示された。
Science2009年10月2月号


「フロン」はオゾン層破壊の原因物質であり、1987年のモントリオール議定書によりその排出が規制されている
しかし、アメリカ海洋大気局のラビシャンカール博士らは、「亜酸化窒素(N2O)」がフロンを上まわるオゾン層の破壊要因となることを示した。


N2Oはフロン同様きわめて安定した物質で、成層圏に到達すると窒素酸化物を生成してオゾン層を破壊することが知られている。
大気中のN2Oの多くは自然界から放出されたものであるが、全体の3分の1程度が肥料や家畜、化石燃料の燃焼など人間活動に由来する。
N2Oは現在のところモントリオール議定書の規制対象ではなく、このまま放出が続くとオゾン層の破壊が進むことになる。


N2Oは二酸化炭素やメタンにつぐ温室効果ガスでもある。
したがって人為的なN2Oの発生を低減することができれば、オゾン層破壊と地球温暖化の両方を同時に抑制することができると、博士らはのべている。


NEWTON2010年2月号