渡り鳥は磁場が見える

ヨーロッパコマドリは視覚情報をもとに磁力を感じて移動しているようだ。
nature2009年10月29日号


渡り鳥は自分の位置を把握するため、地球の磁気を感じる磁気コンパスを使う。
このコンパスのしくみには二つの説がある。
「鉄ー鉱物仮説」は、
上くちばしの磁気受容体で磁気を感知し、神経を介して脳に伝えるという説である。
「光依存仮説」は、
磁気を目の感光色素で感知し視覚情報を解して、全能領域の一部(クラスターN)に伝えるという「磁場を見る」説である。


ドイツオルデンブルク大学のザプカ博士らは、ヨーロッパコマドリを用いて二つの仮説を検証した。
まず、磁気受容体とされる部分と脳をつなぐ神経を切除しても磁気コンパスを利用できた。
次に前脳領域の機能を阻害すると、正しく磁気コンパスを利用できなかったが、ほかの太陽コンパスや星コンパスは利用できた。
コマドリクラスターNは、磁気コンパスによる位置の把握に特化していることが明らかになった。


この結果は光依存仮説を支持していると博士らはのべている。


「NEWTON」2010年2月号