音波を拡大するレンズ

微弱な音波の画像を鮮明に拡大するレンズがはじめて開発された
nature materials2009年12月号


海中探査には音波探知機が広く使われている。
電波や光では海水中で急速に減衰してしまう。
ただし、音波の波長は長いので鮮明な画像を得ることは原理的にむずかしいようだ。


最近の研究によると、音波を当てた物体からはね返った音波には、短い波長の音波も同時に生成される。
この音波ならより鮮明な画像情報を生成できるという。
しかし、この音波の強度は非常に弱く、遠くまではね返ってこないという問題があった。


アメリカカリフォルニア大学のロー博士らは、微弱な音波でも効率的に集音し、画像を拡大することにはじめて成功した。
博士らは、扇子の骨のような形の真鍮製の音波レンズをつくった。この扇形の構造が飛躍的に集音効率を高め、音波を光のレンズと同じように拡大できることが示された。
博士らは、今回の成果により超音波診断や魚探知機など音波探知機の性能が格段に向上するだろうとのべている。


「NEWTON」2010年4月号から