音を感じる繊維

光ファイバーを用いた高感度な音響センサーが、はじめて開発された。
nature materials2010年8月号


光ファイバー」は、細長い繊維状のガラスである。
光の信号をガラスの繊維の中に閉じこめて、長距離にわたり伝達することができる。
最近は高速光通信のみならず、高感度な音響センサーとしての応用が進展しているようだ。


アメリマサチューセッツ工科大学のエグサ博士らは、電気と圧力を変換する「圧電材料」と、電極の役割を果たす材料を光ファイバーに埋め込むことで、新しい繊維を開発することに成功した。


この繊維に電気を通すと、圧電材料が振動し音波を発する。
逆に、音波を受信すると、圧電材料がそれを電気に変換する。
つまり、スピーカーとマイクを一つにしたような機能を持つのだ。
この繊維でつくった布を胴体に巻きつければ、心臓の鼓動を検出するなど、
臓器の状態を監視するセンサーとして使える可能性がある。
今回の成果は光ファイバーの様々な応用を可能にするだろう、と博士らはのべている。


「NEWTON」2010年12月号から