脳細胞に新たな役割を発見

神経細胞の活動を支えるアストロサイトは、酸性化を感知して呼吸を調節していた。
Science2010年7月30日号


脳は、「ニューロン」と「グリア」の二種類の細胞から構成されている。
グリアの一種「アストロサイト」は、ニューロンの構造を支え、その活動を助けることが知られているが、それは以外の役割の詳細はわかっていなかった。


脳の、中心に位置する脳幹の「VS」という領域の近くには、呼吸を調節する神経がある。
呼吸が弱まると体内の二酸化炭素がふえる。
すると、脳内の環境はわずかに酸性化し、VSの神経が活動することがこれまでにわかっていた。


イギリスロンドン大学グーリン博士らは、ラットのVS領域を実験的に酸性化すると、その近くのアストロサイトが酸性化を感知して活動が変化し、神経を通じて呼吸をうながすことを発見した。
つまり、VS領域が酸性化に反応するのは、アストロサイトのはたらきによることがわかった。


アストロサイトには、中枢神経系を守るため、呼吸をうながし脳内の酸素濃度を保つ役割があるようだ、と博士らは考えている。
「NEWTON」2010年12月号から