涙は女だけの武器じゃない…でも、マウスの話

マウスのオスは「涙」でメスを落とす--。
2010年7月2日 提供:読売新聞


 東原和成・東京大教授(応用生命化学)らは、オスのマウスの涙腺から分泌される物質が、メスの脳を刺激して交尾を促進することを明らかにした。哺乳(ほにゅう)類の性フェロモンの機構が明らかになったのは初めて。英科学誌ネイチャーに発表した。


 研究チームは、成熟したオスだけが分泌する「ESP1」という小さなたんぱく質の機能を解析。メスは通常、オスが交尾を仕掛けても10回に1回ほどしか受け入れないが、ESP1を与えると2回に1回ほどに増えた。



 メスは鼻の下部の「鋤鼻(じょび)器官」にあるセンサーでESP1を認識し、発情を調整する視床下部に情報を送っていた。センサーを働かなくすると交尾の促進は見られなくなった。



 効果てきめんのESP1だが、霊長類や人間にはこの遺伝子がなく、男が泣いても効果は期待できない。