万能ワクチンが完成?

全ての種類のインフルエンザウィルスに効くワクチンの実現に近づいた。
Science2010年8月27日号


インフルエンザウィルスの表面にある「ヘマグルチニン(HA)」というタンパク質に、「抗体」が結合すると、ウィルスの感染力が失われる。
HAを含むウィルスの一部を「ワクチン」として接種すると、ウィルスに感染する前に、HAに対する抗体を体内で作っておくことができる。
ただしHAは何種類もあり、毎年流行する種類がちがうため、どの種類にも対応できるワクチンが求められていた。


アメリ国立衛生研究所のウェイ博士らは、HAをつくる遺伝子を含む環状DNA(デオキシリボ核酸)をワクチンとしてマウスに接種した。
そこへさらに、通常の季節性インフルエンザワクチンなどを接種した。
こうして2種類のワクチンを組み合わせた結果、さまざまな種類のHAに対して効果をもつ抗体が体内でつくられた。


博士らは、この方法によりすべてのインフルエンザウィルスに効果のあるワクチンが実現できるかもしれない、とのべている。


「NEWTON」2010年12月号から