大腸菌でガソリンをつくる

ガソリンなどの化石燃料を合成するための遺伝子をラン藻から発見した。
Science2010年7月30日号


炭素原子などがつながった有機分子「アルカン」は、ガソリンや軽油などの化石燃料の主成分である。
アルカンは多様な微生物の体内で合成されているが、どのように合成されるかはなぞだった。


アメリカLS9社シルマー博士らは、アルカンがつくることが知られている「ラン藻」に着目した。
11種類のラン藻の仲間を調べたところ、炭素が15〜17個のアルカンを合成するものが10種、アルカンをまったく合成しないものが1種いることがわかった。
博士らはこれらの遺伝子配列を比較し、ラン藻のアルカン合成に関係する二つの遺伝子を割りだした。
一つ目はアルカンの元になる「脂肪族アルデヒド」を作る酵素で、
二つ目は脂肪族アルデヒドからアルカンなどをつくりだす酵素だった。
この二つの遺伝子を大腸菌に組み込むと、炭素13〜17個からなるアルカンなどができた。


この研究が進めば、大腸菌でガソリンなどを安くつくることも可能だろう、と博士らは考えている。
「NEWTON」2010年12月号から