細菌の免疫システム

微生物がウィルス感染などから身を守る詳しいしくみが明らかにされた。
nature2010年11月4日号


細菌や古細菌といった微生物も、ウィルス感染などで細胞内に遺伝子の侵入を受ける。
これらの微生物は、細胞内の特殊な遺伝子配列「CRISPR」を介し、外来遺伝子を切断して身を守る能力がある。
最近、ある古細菌では、CRISPRの中に外来遺伝子を取りこみ免疫を獲得することがわかった。
しかし、その詳細は不明だった。


カナダ、ラヴァル大学のガルノー博士らは、乳酸菌の一種の細胞内にDNAを侵入させ培養した。
すると、CRISPR中に外来DNAを取りこみ、新たに侵入した同じDNAを切断し無効にする菌があらわれた。
外来DNAがウィルス由来でも、細菌間などで伝達されるDNA「プラスミド」由来でも、このような免疫獲得がおこなわれていた。
外来DNAは特定の部位で切断されることもわかった。
今回の成果を応用すれば、バイオ産業に役立つような、DNAの侵入に強い微生物の作成が可能になるとみられている。
「NEWTON」2011年3月号