栄養不足でうつ傾向に?

必須栄養素の脂肪酸が不足したマウスで、うつ病のような状態がみられた。
nature neuroscience2011年3月号


安くて高カロリーな食物は、必須栄養素を欠くことが多い。
そのような食事を続ける必須栄養素が不足すると、脳の発達や行動が悪影響を受けるという指摘がある。
たとえば魚などに含まれる「n-3型多価不飽和脂肪酸(n-3PUFAs)」の不足は、精神神経症を起こしやすいことが知られている。


今回フランス国立医学研究機構やスペインのバスク大学などからなる研究チームは、生まれたときからn-3PUFAs不足のえさで育てたマウスの脳をくわしく調べた。
その結果、脳の前頭葉で、神経どうしのつながりであるシナプスに異常をみつけた。
研究によると、シナプスでの「長期抑制」が正常におおきくなっていた。
このマウスは、人の感情表現にあたる行動や反応が少なく、うつ病のような状態だったという。
この結果から、ヒトでみられるn-3PUFAs不足による行動変化の原因の一つが分かった、と博士らは考えている。
「NEWTON」2011年5月号