菌でマラリア退治

遺伝子を組みかえた菌類使い、蚊の体内にいるマラリア病原虫を駆除できた。
Science2011年2月25日号


マラリアは、蚊の体内にいる病原虫よる感染症である。
この病原虫をもつ蚊に刺されると感染するリスクがあり、世界中の半分近くの人をおびやかしているといわれる。
予防策として、マラリア病原虫や蚊に対して殺虫剤が使われている。
しかし近年、広く使われている殺虫剤の成分に耐性をもつ蚊があらわれた。
そのため、かわりの方法が必要となってきている。


アメリメリーランド大学のファン博士らは、昆虫に感染する「メタリジウム菌」使ったマラリア病原虫の駆除方法を開発した。
マラリア病原虫は蚊の唾液腺へと移動する。そこで博士らは菌の遺伝子を組みかえ、蚊の唾液腺に病原虫がくっつかないようにする分子と、病原虫にきく毒素を同時に作ることができるようにした。
この菌を蚊に感染させたところ、唾液腺でみつかるマラリア病原虫の数が98%減ったという。
今回開発された菌類は、マラリアへのよい対抗策になるかもしれない、と博士らは考えている。
「NEWTON」2011年6月号