夜ふかしで太る理由

不規則な生活を送ることで、脂肪を燃やす遺伝子のはたらきが落ちるようだ。
Science2011年3月11日号


人間はふだん、役24時間周期の正確な体内時計をきざんでいる。
だが、夜ふかしなど不規則な生活をつづけると体内時計は乱れてしまう。
これまで、不規則な生活を送る人は糖尿病や脂肪肝といったメタボリック症候群にかかりやすいことが知られている。
しかし、そのメカニズムは不明だった。


アメリペンシルバニア大学のフェン博士らは、遺伝子のはたらきを調節する酵素である「HDAC3」に注目した。
研究の結果、HDA3は体内時計にしたがって、脂肪燃焼を制御していることがわかった。
さらに博士らは、肝臓のHDA3がはたらかないマウスをつくり、その生活を観察した。
すると、このマウスは体内時計が乱れることにより、脂肪燃焼のはたらきが落ち、脂肪肝になりやすい性質を示したという。
夜ふかしなどにより体内時計の乱れた人が、なぜメタボリック症候群になりやすいのか、を今回の発見により説明できるのではないか、と博士らは述べている。
「NEWTON」2011年7月号