病原菌の襲来を予知

植物は、病原菌に感染しやすい時間帯にあわせた免疫を準備しているようだ。
nature2011年2月3日号


植物には、幅広い病原体に対する免疫がある。この免疫の詳しい分子レベルの仕組みは、ほとんど分かっていない。


アメリデューク大学のワン博士らは、免疫反応の指令を出す遺伝子が突然変異したシロイスナズナを、正常なものとともに、ある病原菌に感染させた。
そして、感染時にはたらくさまざまな遺伝子の変化を時間ごとにくらべた結果、防御のための細胞死と病原菌への抵抗性に関わる遺伝子群を発見した。
それらの遺伝子のはたらきは、約24時間のリズムをきざむ分子により周期的に調節されていることがわかった。


遺伝子のはたらきが高まる時間帯は、病原菌が胞子をまき散らす夜明けに一致しており、植物は感染にそなえていると考えられるという。
免疫にともなう細胞死などの反応は、植物にとって負担にもなる。限られた時間だけ免疫をはたらかせる今回の仕組みがそのような負担を軽くしているようだ、と博士らは仮説を立てている。
「NEWTON」2011年6月号